Media Close-up Report 東京オリンピック ラグビーW杯 五輪レガシー 放送・通信・ICT 

4K8K 5G AR/VR AI 新国立競技場 FIFAW杯 メディア評論 国際メディアサービスシステム研究所

東京オリンピック 選手村 アジェンダ2020 バッハ会長 森会長

2016年10月26日 14時26分18秒 | 東京オリンピック

“選手村は一つ”、“選手村はオリンピックの魂” の矛盾
どこへ行った五輪改革





“お父様”、“兄弟”、“船長” 森組織委会長 バッハIOC会長との親密さを強調 バッハIOC会長 “選手村はオリンピックの魂”
 2016年10月20日、東京で開催されたスポーツ・文化・ワールド・フォーラム(World Forum on Spot and Culture)で挨拶した森組織委会長は、「バッハ会長は2020東京大会を主導していただく“船長さん”だ。我々にとっては“お父様”のような立場だ。我々心を一つにしてバッハ会長のもとで同じ船に乗り合わせて進めていくことが我々の大事な使命だと思っていて、本心からバッハ会長を“崇拝”している」と述べた
 また森組織委会長は「東京2020とバッハIOC会長は“兄弟”だ」と述べたのに対し、バッハIOC会長は「森さんに先ほど“兄弟”という温かい言葉を頂いたので、私は“弟”とよぶべきかな」と答えた。
 そして選手村について、森組織委会長は、「選手村というのは非常に大事だ。世界中の人がそこに集まって一緒に話し合って語り合って未来を考えるということができる。そういう意味では原則的には分村はできるだけ避けて一つの選手村に選手たちが行動を共にしていただければと思う」
これに対してバッハIOC会長は、 「最も重要な事は選手村がオリンピックの魂であり中心であることだ」と、森組織委会長に同調する発言をした。
 明らかにボート・カヌー会場を長沼ボート場に移設する案を阻止しようと意図が消え隠れしている。

「コンパンクト五輪で東京は勝った」 コーツIOC副会長が語る東京五輪
10月21日、コーツIOC副会長は、テレビ朝日の報道ステーションのインタビューに答えて、「東京が立候補したとき選手中心の案をまとめた。だから東京が勝ったのである。コンパクトであることがその理由だった。東京はその時の約束を尊重しなければならない。立候補した後に大きな変更をするというのは勝ったあとに立候補の条件を変えることだ」と、東京五輪が決まったのはアスリートファーストの“コンパクト五輪”が実現できるかだと述べた。
 ボート・カヌー会場については、まだどこが適当か決まっていないとしながら、「一番大切なことはアスリートが一つの選手村で一緒に生活することだ。これで質問の回答になっている」と述べた。
海の森水上競技場は選手村に近いから? というインタビュアーの質問に対し、「もちろんだ。アスリートにはそれが一番だ。海の森水上競技場は選手村から近いので選手たちも選手村に滞在できる」
 コーツ副会長は、元五輪ボート選手、コックスと呼ばれる“かじ取り役”で、ボートチームのリーダー的な役割を担った。現役選手引退後は国際ボート連盟の理事も務めたボート競技団体の実力者である。

「アジェンダ2020」はどこへ行った? 
 五輪開催費用の巨額化で、立候補撤退が相次ぎ、このままでは、やがてオリンピック開催を立候補する都市はなくなるとまで言われ始めている、国際オリンピック委員会(IOC)は、オリンピックの存在をかけて改革に取り組む必要に迫られている。
 2013年、リオデジャネイロの国際オリンピック委員会(IOC)総会で、ロゲ前会長と交代したバッハ会長は、オリンピックの肥大化の歯止めや開催費用の削減に取り組み、翌年の2014年の「アジェンダ2020」を策定する。
 「アジェンダ2020」は、合計40の提案を掲げた中長期改革である。
 そのポイントは以下の通りだ。
* 開催費用を削減して運営の柔軟性を高める
* 既存の施設を最大限活用する
* 一時的(仮設)会場活用を促進する
* 開催都市以外、さらに例外的な場合は開催国以外で競技を行うことを認める
* 開催都市に複数の追加種目を認める 

 国際オリンピック委員会(IOC)は「開催都市以外、さらに例外的な場合は開催国以外で競技を行うことを認める」としているのである。
 選手村を一つにして、“オリンピックの魂”というのは「アジェンダ2020」とまったく矛盾するのは明らかだ。開催都市以外や開催国以外の開催も認めているのだ。選手村は競技別に整備されるのは必然だろう。
 この疑問に森組織委会長、バッハIOC会長はどう答えるのか?
 選手村は“一つ”、“オリンピックの魂”海の森水上競技場を守るために持ち出した道理の通らぬ理屈と思える。

 2016年10月20日、都内でバッハIOC会長の来日記念式典が開かれ、東洋の文化、書道を体験してもらうイベントが行われ、バッハIOC会長は、一筆入れて下さいという要請に答え、「五輪精神」の「神」の字に筆を入れて、「五輪精神」の四文字の書を完成させ喝采を浴びた。
 その後にスピーチで「オリンピックの運営という観点での『アジェンダ2020』の目標は、経費削減と競技運営の柔軟性を再強化することだ。これは大きな転換点だ」と強調した。
 今回バッハIOC会長と共に来日したコーツ副会長も、2000年シドニー五輪で大会運営に加わり、経費削減に辣腕をふるって、大会を成功に結び付けた立役者とされている。
 国際オリンピック委員会(IOC)にとっても、肥大化の歯止めや開催費用の削減は、オリンピックの存亡を賭けた至上命題なのだ。持続可能なオリンピック改革ができるかどうか、瀬戸際に追い込まれているのである。




東京オリンピック 競技場整備 最新情報 膨張する開催経費 どこへいった競技開催理念

小池新都知事の最大の難問 五輪開催費用“3兆円” 競技場整備大幅見直しへ 早くも険悪! 小池新都知事と森五輪組織委員会長
主導権争い激化 2020年東京オリンピック・パラリンピック 小池都知事 森組織委会長 バッハIOC会長
“迷走”海の森水上競技場整備
“陸の孤島” 東京五輪施設 “頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都心
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか?
東京オリンピック Media Close-up Report タイムライン




2016年10月26日
Copyright (C) 2016 IMSSR




******************************************************
廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
******************************************************

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東京オリンピック 海の森水... | トップ | 東京オリンピック アクアテ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿